謝罪外交 2013 8 18

書名 いつまでもアメリカが守ってくれると思うなよ
著者 古森 義久  幻冬舎新書

「謝罪外交を繰り返すオバマ政権」
 これは、この本では、43ページから始まる、
「オバマの謝罪外交」というところを読めば、
そう思いたくなるでしょう。
 確かに、ここに掲載された一連の演説を読めば、
共和党が、オバマ氏の演説を、
「謝罪外交」とか「謝罪の旅」(外国訪問)と非難する理由があります。
 著者によれば、オバマ氏は、
アメリカの従来の「あり方」には、
むしろ批判をぶつけることが多いという。
 アメリカの超大国としての実績でさえも、
あえてミスや欠陥を指摘して、
事実上の謝罪をするという傾向がちらつくのだと指摘します。
 これは、よく言えば、「謙虚である」と言えるでしょうが、
悪く言えば、「自虐的」と言えるでしょう。
 謝罪外交といえば、日本政府の「お家芸」でしたが、
時には、オバマ氏の方が、それを上回り、
日本人としては、びっくりでしょう。
 もしかすると、日本人は怒るかもしれません。
「日本の『お家芸』をオバマ氏に奪われてしまった」と。
これを「生きがい」している日本の政治家もいるからです。
 もう少し、この本から引用しましょう。
「軍事力を忌避し、軍事力の効用を認めたがらないオバマ大統領」
 オバマ大統領は、そもそも軍事力が嫌いだ。
アメリカの国政レベルでは、そんな認識がよく語られる。
これは、保守派だけからの評価ではない。
与党の民主党側にも浸透した認識だと言える。
(引用、以上)
 多くの日本人は、
「なんだか、オバマ氏という政治家がわからなくなった」と思ったでしょう。
 オバマ氏は、リベラルと言われる民主党の中でも、
「最も左寄り」と言われることがあります。
 つまり、日本の政治家でたとえれば、
社会党の党首がアメリカ大統領をやっているようなものです。
 そう言えば、今は、社会党という政党はありませんから、
オバマ氏は、社民党の党首に近いと言えば、よくわかるでしょう。
 だから、オバマ大統領と安倍首相は、馬が合わないと言えます。
安倍首相は、保守政党と言われる自民党の中でも、右派と言われています。
 片方の政治姿勢が社民党の党首に近く、もう片方が保守政党の右派では、
首脳会談は、どうやっても、うまく行くはずがありません。
 それにしても、アメリカが、このような状態では、
独裁者や強権政府の指導者は、
当分、「枕を高くして眠れる」と言えるでしょう。
 多くの独裁者や強権政府の指導者は、今でも、
「アメリカの影に怯えて、夜も眠れない」という状態かもしれませんが、
それは、「かつてのアメリカ」に怯えているからでしょう。
しかし、「今のアメリカ」を知れば、独裁者たちは、熟睡できます。
 要するに、独裁者たちは、勉強不足です。
自国の独裁体制を維持にするのに忙しくて、
国際情勢を勉強していないということでしょう。

別人 2013 8 10
 昨年から、このサイトでは、
日本の安全保障については、
「自分の国は自分で守るという体制にすべきだ」と、
何度も書いていますが、それには理由があるのです。
 多くの日本人が思い描いているアメリカは、
「かつてのアメリカ」であって、「今のアメリカ」ではありません。
 要するに、姿形は同じでも、
中身は別人になってしまったと言った方がよいかもしれません。
 歴代のアメリカ大統領で、
「リーダーシップが弱い」と言われたカーター大統領ですら、
人権外交を主張し、人権軽視の国があれば、
強力な指導力を発揮したものでした。
 今のアメリカは、リーダーシップを嫌がる傾向があります。
わかりやすく言えば、「事なかれ主義」で、
「自分の任期中は、やっかいごとが起こらないでほしい」と祈るような気持ちでしょう。
これは、かつてアメリカにあった「孤立主義」とも違います。
 別の角度から書けば、こういうことです。
もう10年近く前に、私は、こう書きました。
アメリカは、やがて白人が少数派となる。
そして、ヒスパニック系が多数派となる日が来ると。
 もう、こうなると、アメリカは、別の国になってしまうでしょう。
「白人が持っている価値観」と「ヒスパニック系が持っている価値観」は、
やはり大きく違うのです。
 一方、アフリカ系アメリカ人、つまり日本では「黒人」と言うでしょうが、
こうした人たちは、産業界に進出するのではなく、
政治の世界、特に地方政治への進出が目立つと聞いたことがあります。
 こうした人種構成の変化が、
やはり、アメリカの政策に現れてくるのです。
 日本人が思い描いているアメリカとは、
冷戦時代にソ連と対峙したアメリカでしょう。
 アメリカは、変わってしまったのです。
そう言えば、大統領選挙の時に「Change」という言葉を何度も聞きましたが、
確かに、アメリカは変わってしまったのです。
姿形は同じでも、中身は別人になってしまったと言ってよいでしょう。
 弱腰と言われながらも、
強力に人権外交を推進したカーター政権が、
今となっては、懐かしい。
 かつてアメリカは「世界に民主主義を広める」と主張していた時代があったのです。
今のアメリカは「そんな面倒なことに巻き込まれるのは嫌だ。
仕事を増やさないでくれ」という気分でしょう。









































































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